
2025年、Appleは新たなタブレットの進化を見せつけるように、「M4 iPad Pro」を発表しました。
シリーズ初となるM4チップ、驚異的な薄さ、OLED採用のUltra Retina XDRディスプレイなど、まさに“全方位進化”。
本記事では、実際に数週間使ってみた体験をもとに、性能、使い勝手、気になる点を余すことなくレビューしていきます。
デザインと質感|「これ、もう板じゃん」というレベルの薄さと洗練
最初に感じるのは“異次元の薄さ”です。13インチモデルで5.1mm、11インチでも5.3mmという数値は、実際に手に取ってみるとそのインパクトが段違い。
アルミニウムユニボディの質感はAppleらしく非常に高級感があり、手にした瞬間から「これはただのタブレットじゃない」と感じさせてくれます。
ベゼルも狭くなり、画面への没入感がさらに向上。これだけ薄くても剛性はしっかりしており、たわみや不安定さは一切感じません。
カバンに入れてもまったくかさばらず、重さも13インチで579gと、前世代よりも軽量。持ち運び前提のモバイルクリエイターにとっては、これ以上ない利点です。
ディスプレイ|Ultra Retina XDRの威力、OLEDの本領発揮
M4 iPad Pro最大の進化は、やはりディスプレイの刷新です。
従来のミニLEDから、ついにAppleもOLED(有機EL)ディスプレイに移行。しかも単なるOLEDではなく、11インチと13インチモデルに異なるパネルを組み合わせたタンデムOLED構造を採用しています。
これにより、
- 漆黒の表現力
- 高コントラスト比
- 広色域(P3)
- 最大1600ニトのHDR輝度
といった要素をすべて高水準で実現。
Photoshopで写真編集をする方、HDRコンテンツを見る方にとっては、従来機とは明確な違いを感じるはずです。
しかもProMotion(最大120Hz)にも対応しており、スクロールや描画の滑らかさは健在。
「映像にこだわるならこれ一択」と言っても過言ではないでしょう。
パフォーマンス|M4チップは“iPadの皮を被ったMac”
新登場のM4チップは、iPadシリーズ初となる3nmプロセスを採用した超高性能SoC。
Appleは「M2比でCPU性能50%アップ」「GPU性能4倍」とアピールしていますが、数字以上に体感での快適さが別次元です。
実際の使用感
- LumaFusionで4K動画編集: レンダリングが以前の半分の時間に
- Procreateでのブラシ操作: レイテンシが極限まで抑えられ、紙に描いている感覚
- Affinity Photoでのマルチレイヤー処理: 数十レイヤーでもサクサク動く
さらに、M4から搭載された新GPUはハードウェアレイトレーシングに対応しており、ゲームや3Dアプリケーションでもより高度な描画処理が可能に。
もはや、「タブレットとして速い」ではなく、「ノートPCすら凌駕する」という表現がしっくりきます。
Apple Pencil Pro & Magic Keyboard|プロの道具としての完成度
Apple Pencil Pro
今回のPencilは“Pro”の名に恥じない進化を遂げました。
- スクイーズジェスチャー: 指先を軽く握るだけでツール切替やショートカットが可能
- ホバージェスチャー: 画面に近づけただけでプレビューや操作アシストが表示
- 触覚フィードバック: ペンに“手応え”があることで描画体験がリアルに
特にデジタルイラストや建築スケッチを行う方にとっては、生産性が大きく向上する仕様です。
Magic Keyboard
従来より軽量化され、トラックパッドも拡大。キー配列もMacBookとほぼ同じで、“ラップトップ化”がさらに進んだ印象です。
文章入力や資料作成など、タイピング中心の作業も快適。
「これ一台で完結したい」というニーズに十分応えるアクセサリです。
iPadOSの課題|「本気で使いたい人」にとっては物足りない瞬間も
本体性能がここまで進化しているのに、iPadOSはやや置き去り感があるのが実情です。
例えば:
- macOSのようなマルチタスクの柔軟性はまだ乏しい
- ファイル管理もFinderレベルには遠い
- 一部アプリ(特にクリエイティブ用途)がmacOS版に比べて機能制限あり
ハードがMacBook Pro並みに進化した今、iPadOSがそれに追いついていないことが唯一の“もったいない点”とも言えます。
価格と構成|妥協なき構成=高額
価格例(2025年モデル)
モデル | 本体価格(税別) | Magic Keyboard | Pencil Pro | 合計 |
---|---|---|---|---|
13インチ・1TB | 約248,800円 | 約49,800円 | 約21,800円 | 約320,000円 |
正直、軽くMacBook Proが買える価格帯です。
「iPad=サブ機」と考えている人にとっては、手が出しづらいモデルかもしれません。
ただし、性能・描画力・拡張性のバランスは非常に高く、プロフェッショナル用途であれば費用対効果は高いというのも事実です。
結論|M4 iPad Proは“未来の標準”を見せてくれる一台
タブレットというカテゴリにおいて、M4 iPad Proは明らかに次元が違います。
軽さ・画質・処理性能・拡張性…どれをとっても“2025年の最高峰”と呼べる完成度。
ただし、すべての人に必要なデバイスかというと、それはNOです。
M4 iPad Proが「買い」なのはこんな人:
- 高精細なディスプレイが必要なデザイナー・フォトグラファー
- 外出先でもパワフルな動画編集や描画作業を行いたい人
- Apple製品に囲まれたエコシステムを最大活用している人
一方、Web閲覧やメモ中心のライトユーザーにとっては、Airや無印iPadのほうがコスパは良いです。
最後に
「タブレット」という言葉ではもはや収まりきらないポテンシャルを持つM4 iPad Pro。
Appleはこのデバイスで、“次の時代のPC像”を提示してきたように思います。
興味を持った方は、ぜひ一度実機を手に取ってみてください。
その薄さと美しさ、そしてパフォーマンスの高さに、きっと驚かされるはずです。